弁当

三星学園の学食は美味い。冗談抜きで美味い。近隣では結構有名なほどに美味い。
そんなわけで、関西から来た長身スラッガーは当初その美味さに大喜びしたわけだが。
今日日(きょうび)の織田は学食のトレイを見る度、ため息をついていた。
チームメイト、しかも期待の星である彼のその姿に、向かいに座る捕手が声をかけた。
「どうした?嫌いなもんでもあったか?」
「いんや…んなことないで。」
それならどうして、と畠が先を促す。
「いやなぁ。西浦の四番の昼飯は愛妻弁当なんやて。俺も同じ四番なのになぁ…」
はぁ、なんでやろ。と遂に織田の口からため息がこぼれる。
「俺も叶の愛妻弁当がええなぁ…」
織田の心底の願いに応えてくれる者はいなかった。それでも、彼はため息とええなぁと俺も…を繰り返す。
「叶ー。なんか織田がへんなこと言ってるぞー」
大丈夫かー?と捕手の横の三番打者が繰り言スラッガーの横にいる投手に尋ねる。
「言わせときゃ無害だ」
もぐもぐもぐ。ごくん。ご馳走様でした。
我関せずの投手に、三番打者はあ、そう…としか言えなかった。それでも、投手は投手なりの優しさで、未だ人参をつつきながらしょぼくれている四番に声をかける
「織田、早く食わねぇとおいてぐぞ?」

続、おっとこまえ。


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でもこれで、練習試合の日とかに叶がお弁当つくってきてくれたりしたらいい。
ちなみに、織田の西浦情報の発信源は三橋。っていうか叶。
「(梓ちゃんのお弁当に田島が大喜びだから)こ、今度…あべくんに、お、おべんとう、つく、る…んだ」って三橋がいってたんだけど、あいつ不器用だから怪我するぜ。絶対。大丈夫かな。投手なのにさ。何考えてんだか…っていうか阿部は何やってんだか!だよな!!」(by叶)とかそんな感じで情報が入る。
三橋のお弁当大作戦は、阿部が怒るか怒らないかどうしようかでうんうんうなって不機嫌な顔になって、アワアワして、それに(阿部が)はっとなって最終的にいちゃいちゃしてればいいと思う。万が一にでも阿部が今度から俺が…とか言ったらベミハベになりそうだからナシで。
「あべくんが、よろこんで、くれ、た。よかった…(はにゃり)」(笑顔)に阿部がカアア(赤面)ってして終わればいいさー。