ティッシュ
花井梓の場合。
(…やっぱ、生々しい、よ、な…)
はぁ、とベッドの横におかれたティッシュを見る。
部活は明日から試験前ということで停止の予定になっていた。そしてまぁ、だから、という流れで。
花井はもう風呂に入っていて、今は田島が風呂に入っていた。手持ちぶさたで、何をしたらいいかわからない花井は、しかたがないのでいそいそと準備など始めてみた。
どうせぐちゃぐちゃになるのにシーツをぴんときれいにしてみたりだとか、コンドーさんをベッドのわきにおいてみたりだとか。そんなことをしてコトの前の恥ずかしさを紛らわせてみる。
そして、ティッシュをベッドの横においたのだが。だがしかし。コンドーさんはその小ささ故かそれほどめだたないのだが、ティッシュは。ティッシュがベッドの横に鎮座しているというのは。
(な、生々しい…な…)
それでも絶対にいるものだから。
結論、がくり。
三橋廉の場合。
(あー、ティッシュおいとくか)
探し回るのもナンだし、と阿部はベッドのわきにティッシュを置く。一瞬、生々しいか?と思うが、まぁいいかと思い直した。コトの後にティッシュティッシュと探し回るのもどうかと思うし。
かちゃ、とドアノブが回る音がした。
「三橋」
「あ、あべ…くん」
うつむきかげんの、真っ赤な三橋。それににんまりしながらおいでおいでと、阿部は彼を手招きしてべッドに腰かけさせた。
ますます赤くなってきゅうと目を強く瞑る三橋の耳元に、阿部はことさら優しく手をそえる。こわらがらせないように、おどろかさないように。大事に大事に。キスをして、名前を呼んで。
「あべ…っくん…っ」
ベッドに沈む。
結果、気づかない。
叶修吾の場合。
「あ、ティッシュティッシュ」
「…」
風呂に入りました。みんな寝静まりました。どうせなんやから、と服だって軽く脱がしました。ベッドの上です。これからいよいよのキスでした。
それが終わって、そのセリフか自分ーっ!!!
色香を漂わせた姿そのままにベッドから降りた叶にがっくりと織田は肩を落とす。もはや恥じらいも何もあったもんじゃない。
「…なんだよっ」
そんな織田を見て、叶が少し頬を赤らめた。自分でもあんまりだと少しは思ったのだろうか。
「だって、絶対いるじゃねーか」
拗ねたように言い訳を重ねる。その姿は、ムードを躊躇なくぶち壊したことなんてどうでもいいほど愛らしく。
「そやな。はよもどっといで」
やる気のタレ目は、どうにもエロかった。
結論、おっとこ前でした。
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