SSlog04

いつもの中庭に、相変わらず彼女は早く着ていて本を読んでいた。
よほど集中しているらしく目の前に座っても気付かない。それも彼女らしいといえば彼女らしいので気にしないで紅茶を呼び出した。
甘い甘いフレーバーティーに顔を僅かに顰める。芽吹く息吹にあわせてストロベリィーにしたらしい。何処の喫茶店だと呆れつつ、本に没頭したままの才女を見た。
「何をそんなに熱心に読んでいるんだ?」
それで初めてドラコの存在に気付いたらしい彼女は、驚いた顔で少し眉を寄せた気だるげな少年を見た。
「あら、ごめんなさい。すっかり夢中になっちゃって」
そう言って彼女はそそくさと読んでいた本を栞も挟まずしまう。
「…一体何を読んでいたんだ?」
いつもならキリのいいところまで読ませろだのなんだの、最低でも栞を挟む彼女だ。しかも明らかにタイトルを隠して本を引っ込めた。気にするなと言うほうが無理な話である。
「………笑わない?」
たっぷり瞳をさまよわせてからのセリフ。
それだけでドラコには何が絡んでいるかわかってしまい、今更だろうと鼻で笑った。どうせ、あいつ好みのクイディッチ雑誌だとかなんだとかだろうと高を括って。
「アイラインがぶれないで引ける呪文…」
顔を俯かせて最後の方はゴモゴモと。
そっち方面か…と少々予想外だったことで溜め息ともつかない納得の声を。
「だって、近いんですもの…」
はぁーっと今度はしっかりとした深い溜め息をもう一つ。これはもう、しっかりと項垂れてしまうぐらいの勢いで。
さり気なく惚気るな!
第一、近いってなんだ!近いって!!
近づいたら目ぐらい瞑らないか、あの赤毛!!!


頬が赤い彼女と頭をかかえる彼の間で立ち上る、甘い甘いストロベリー。